歯みがきをしたら奥歯から出血した<歯周病>(ミニチュアダックスフンド 13才)歯科症例91

 

歯みがきをした時に、左上顎の奥歯から出血した。歯肉も赤い。とのことで来院されました。

 

ホームデンタルケアをされているので、切歯や犬歯などはきれいな状態が保たれていましたが、歯ブラシが届きにくい上顎の臼歯は歯垢・歯石が認められ、歯肉の発赤・腫脹がありました。

 

同時に、心臓の雑音も認められましたので、心臓の検査を行い、評価・治療を行い、可能な状態であれば歯科処置を行うことをおすすめしました。

 

 

まず、心臓の検査を行いました。

心臓病がありましたので、飲み薬による治療を開始し、状態を安定させた後に、歯科処置を行うことになりました。

 

 

プローブ検査

 

切歯・犬歯のポケットは1~3mmと浅かったのですが、やはり上顎の臼歯部分は4~5mmと深いポケットが形成されていました。

また下顎第2後臼歯は、右側はすでに欠損しており、左側はぐらつきがひどくポケットは4mmもありました。

 

レントゲン検査

 

右上顎第2後臼歯です。

プローブ検査で、ポケットが5mmと深かったので、レントゲン検査で確認を行いました。口蓋根周囲に骨吸収像がみられましたが、他の2根がしっかりしていたので、温存することになりました。

 

 

歯神経ブロック

 

スケ-リング

 

ルートプレーニング

 

歯肉縁下の汚れを1本ずつ掻き出します。

レントゲンにて口蓋根周囲の骨吸収が確認された、右上顎第2後臼歯です。ポケットも深くなっていましたので、充分にルートプレーニングを行い、汚れを掻き出しました。

 

 

左下顎第2後臼歯です。

 

この歯は、ポケットが4mmあり、さらにぐらつきもありましたので、抜歯しました。

 

ポリッシング

 

最後に、抗生物質軟膏をポケットの深かった箇所に注入し、口腔内をきれいに洗い流し、終了しました。

 

 

 

 

 

 

<処置翌日>

「食欲はいつも通りありますが、疲れたのか寝てばかりいます。」とのことでした。

 

〈処置から1週間〉

「退院して2日間は、寝てばかりいましたが、3日目からいつもの元気さが戻り、ボールで遊ぶようにもなりました。食欲は退院した日からいつも通りあります。口を気にする様子もありません。」とのことでした。

 

この状態を維持していただくため、ホームデンタルケアについて説明いたしました。

〈歯科検診と歯みがき教室 くるみちゃん〉

 

 

 

処置後に、今までのホームデンタルケアについてお聞きしたところ、「食後に1日3回歯みがきしています。」とのこと。

ですので、切歯や犬歯はポケットも浅く、とてもきれいな状態が保たれており、13歳とは思えないほどでした。

今回、歯ブラシが届きにくい箇所に、歯周病が起こってしまいました。

ですが、毎日のホームデンタルケアの甲斐あり、麻酔時間も短く、心臓への負担も最小限に抑えることができました。

これは、飼い主さま、そしてこのわんちゃんの、毎日の努力の結果だと思います。

 

これからも継続し、歯みがきを頑張って、快適に長生きしましょうね☆

 

京都市 左京区 動物病院 とよだ 歯科

 

2017年09月06日