左下顎第3切歯のぐらつき<口腔鼻腔婁・歯周病>(ミニチュアダックスフンド 8才)歯科症例174-①

 

 

この症例のわんちゃんは2年半前に当院で一度歯科処置を受けられ、

その後ご自宅での歯みがきや定期的な歯科検診を受けられていました。

ですが徐々に歯垢、歯石が付き、左下顎第3切歯のぐらつきが確認されましたので、

再度歯科処置を行うことをおすすめしました。

 

後日術前検査を行い、歯科処置を実施しました。

 


 

歯神経ブロック(局所麻酔)

 

 

スケーリング

 

 

歯周プローブ検査

歯周ポケットの深さを計測します。

多くの歯で深いポケットが確認されました。

右上顎犬歯と左上顎第3前臼歯においては12mm以上と非常に深いポケットが形成されていました。

 

根分岐部病変(歯周病が進み歯槽骨が溶けてしまい歯根部が露出している状態)も多く見られました。

歯根部がトンネルのようになっており、プローブが貫通しています。

 

 

 

歯科レントゲン

上顎切歯です。

左右第1・2切歯でぐらつきが確認され、レントゲンにおいても歯槽骨の吸収を確認しました。

 

左上顎第3前臼歯です。

黄色斜線部分の歯槽骨が溶け、黒く抜けているのが確認できます。

 

 

通水テスト

プローブ検査でポケットが深かった箇所に通水テストを行ったところ、

右上顎犬歯と左上顎第1・3前臼歯で口腔鼻腔ろうが確認されました。

 

口腔鼻腔婁:上顎の歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨が吸収され鼻まで達します。

すると口と鼻がつながった状態になり、これを口腔鼻腔ろうと言います。

クシャミ・鼻水・鼻出血・目ヤニなどの原因となり、根本的治療はまず原因となる歯を抜歯することです。

 

 

 

これらの検査により、治療を決定します。

歯の検査だけでなく、生活環境や年令など様々な要素も含めて考え、

抜歯が必要が、温存するかを1本1本の歯で判断します。

決して不必要な抜歯は行いません。

 

 

 

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2025年03月04日