![](../img/image18.png)
*2年前ぐらいからくしゃみをしている
*最近よだれがでている
*前歯が抜けおちた、他の歯もぐらついてる
*1才の時に他院で乳歯の抜歯をしたが歯根が残ったと言われた
*口が痛いようで触ると嫌がる
とのことで来院されました。
口腔内を確認すると
歯石が大量に付着し、前臼歯が数本ぐらついていました。
左上顎の犬歯の歯肉には穴があいていました。(内歯瘻)
また、上顎臼歯部の歯肉から膿が出ていました。
このわんちゃんは16才で高齢でしたが
重度の歯周病だったため早期の歯科処置が望ましいことをお伝えし、
後日十分な術前検査を行いました。
全身麻酔が可能かどうか評価を行い
飼い主様とご相談の上、歯科処置を行いました。
(下の写真は歯科処置時)
![](../img/image20.png)
歯神経ブロック
口腔内の炎症がひどく、少し触れるだけで痛みを感じていたため
最初に歯神経ブロックを行いました。
スケーリング
![](../img/149.jpg)
歯周プローブ検査
上顎の犬歯は左右ともに歯周ポケットが12mm以上でした。(写真左)
他にも歯周ポケットが深い歯が多く、根分岐部病変(写真右)も見られました。
歯科レントゲン検査
![](../img/418.jpg)
矢印の歯は、乳歯の歯根です。吸収されずに残っていました。(黄色矢印)
また他の歯は歯周病により歯槽骨が溶けてぐらついていました。
黄色の斜線部分(写真左)も歯周病により歯根部の周りの歯槽骨が溶けています。
他の歯でもこのような症状がみられました。
またポケットが12mm以上あった両側の上顎犬歯に通水テストを行ったところ
口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)になっていました。(写真右)
口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)とは
歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨が吸収され鼻まで達します。
すると口と鼻がつながった状態になり、これを口腔鼻腔ろうと言います。
クシャミ・鼻水・鼻出血・目ヤニなどの原因となり、根本的治療は原因となる歯を抜歯することです。
これらの検査により、歯1本1本について温存できるかを判断します。不必要な抜歯は行いません。
しかし、感染が歯根部まで及んでいる場合や歯槽骨を溶かし歯がぐらついている場合は
痛みや感染を取り除くために抜歯処置が必要となります。
今回は重度の歯周病が起こっていたため、多くの歯を抜歯しました。