歯科検診で歯肉の炎症・歯のぐらつきが見つかった<歯周病>(トイプードル 9才)歯科症例117 

 

予防接種の時の身体検査で多量の歯垢・歯石が認められ、

後日、歯科検診に来ていただきました。

 

歯科検診では、歯肉は炎症が起こり、ぐらついている歯もあることがわかりました。

飼い主様とご相談の上、 術前検査、その後歯科処置を実施しました。

 

 

 

歯周プローブ検査

 

右上顎臼歯はポケットが8~9㎜あり、ひどくぐらついていました。

また、左上顎の第1後臼歯はポケットが12㎜以上ありました。

 

ポケットが深かった部分を歯科レントゲンで確認すると・・・

右上顎臼歯は、歯を支えている歯槽骨が

歯周病の進行により吸収され、黒く抜けています。

 

 

 

左上顎第1後臼歯も同様に

歯槽骨の吸収が認められました。

 

 

痛みをなくし、歯周病をしっかり治療するため、

これらの歯は抜歯処置が必要と判断しました。

 

歯神経ブロック

 

スケーリング

超音波スケーラーで歯の表面の汚れを落とします。

 

抜歯処置

多根歯(歯の根元が複数に分かれている歯)は1根ずつに分割してから抜歯します。

抜歯窩はきれいに洗浄し、歯槽骨をトリミング後、縫合しています。

 

ルートプレーニング

1本ずつ、見えない歯周ポケットの中まできれいにします。

見た目をきれいにするだけでは、歯周病の治療にはなりません。

 

 

ポリッシング

歯の表面をつるつるに磨くことで、汚れが付きにくくなります。

 

最後に、歯周ポケットが深かった部分には歯科用軟膏を注入し、処置を終了しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

術後2日ほどは痛みのせいか少し元気がなかったそうですが、食欲はちゃんとあり、

1週間後の来院時にはいつもの元気な様子に戻っていました。

2週間後の検診時には「硬いドライフードをしっかり食べていて痛がることもありません」とのこと。

歯肉の炎症も引き、深かった歯周ポケットが浅くなっていました!

 

 

 

なかなかお家では、お口の状態を知ることは難しいです。

 

今回のケースでは、たまたま予防接種時に異常がみつかり、後日歯科検診に来ていただき、処置実施となりました。

 

詳しい検査は麻酔下でしかできませんが、

お口を見せてくれる子であれば、

歯垢歯石や歯肉の炎症、かみ合わせなど、

歯科検診で分かることもたくさんあります。

 

受けられたことのない方はぜひ一度、歯科検診にいらしてください。

 

2020年01月31日